こんにちは、古の都―京都・長岡京より本場フランスの味にかだわってケーキを作り続けているプチ・ラパンのシェフ・TOMです。
毎年年末に頭を悩ますもの「クリスマスケーキっていつ食べるの?」
私も「この日です!」と断言できるほどの知識を持ち合わせていませんでしたので、いろいろと調べてみました。結構時間がかかったので最後までお付き合いください。
皆さんもよくご存知のとおり、クリスマスはイエス・キリストの生誕を祝うキリスト教の祝日です。カトリック教徒の多いフランスにおいても一年で最大のお祭。さて、彼らはこの大切な日をどのように過ごすのでしょうか。
"Joyeux Noël(クリスマスおめでとう)"の声があちこちから聞こえるクリスマスの前夜、イヴのごちそうはréveillonと呼ばれています。この日ならではの、くりの詰め物をした七面鳥のローストをはじめ、フォア・グラやキャビアを奮発する人もいれば、とっておきのワインやシャンパンをぬく人も。
そしてハイライトはなんと言っても薪型クリスマスケーキ"Bûche de Noël"。このケーキなしでは、クリスマス気分も半減という、フランスの伝統菓子です。(中略)
さて、夜もふけて12時。人びとは深夜ミサに教会へと集まります。この夜ばかりは、どこの教会も満員。ことにパリのノートルダム寺院にミサは名高く、パイプオルガンが響き渡る荘厳華麗な雰囲気は圧巻です。
帰宅してからのお楽しみは、ツリーのところにしのばせておいたプレゼントを開くこと。夜の冷気にこごえた体をブランデーなどで暖め、ブーダンというソーセージの一種を食べながら、おしゃべりが続きます。レストランやカフェなどで、大さわぎする人たちもいないではありませんが、一般にイヴは家庭で親しい人たちとすごす静かなお祭り。翌25日はお休日です。
辻静雄編『フランス料理の本Dデザート』(講談社、1981)より抜粋
クリスマスを祝った後に、帰省先のお仏壇にお供え物をして初詣に出かけるわが国のクリスマスケーキ事情はどうなのでしょう。
やはりわが国での一番人気はふわふわのスポンジ生地と甘い国産苺とたっぷりの白い生クリームでできた『苺ショート』でしょう。日持ちがしないという点では前述のヨーロッパもお菓子とは大きく異なりますが、みんなが大好きなものをホールで用意するという点では大切な人と同じ時間を共有して同じ食べ物を分かち合うという点で本来の趣旨に近い状態で皆さんクリスマスを楽しまれているのではないでしょうか。
では、クリスマスケーキはいつ食べられているのでしょうか。
わりとキリスト教の祝日であることを意識されている方は多く、ヨーロッパ諸国のように24日のクリスマスイヴの予約される方が多いです。またわが国では前日の23日が祝日でお休みになっているため、家族が集まりやすくこの日のご購入も次いで多いです。クリスマスの本来の趣旨からは外れますが、キリスト教徒ではない人にとって家族の都合を最優先にクリスマスケーキを食べるというのは正解の一つなんだろうと思います。
【筆者略歴】長岡京市に生まれる。三菱電機京都製作所内の若草幼児園を経て長岡第七小学校、長岡第二中学校、西乙訓高等学校を卒業後、岡山大学文学部にてフランス文学を学ぶ。大学を中退してフランス料理、フランス菓子の道に。レストラン、ビストロ、ホテル等に勤務の後、2007年に『プチ⋅ラパン』開業。 【店舗情報】 |